『緑眼狂想曲』 後記

 確か、恋敵を出現させたかったのです。ルシファに。

 そうでもしなきゃ、この人、自分の気持ちに気付かないんじゃないか、と。
 そういう相手が出てくれば、嫌でも気付かされるんじゃないか、と。

 サラディンが、ルシファにとって、その他大勢と何が違うのか、どう違うのか。自分でも考えたかった…ような気もします。

 気付いてみれば、想像もしなかった長期連載になっていましたね。
 第一話をUPしたのが、2005年12月。実は、モノ自体は更に古く、「そろそろ何か更新しなきゃなぁ〜」と思い、蔵から出してきた記憶があります。
 第二話の更新が、今年の1月。しっかり一年後(^.^;)。それも、前年の12月に、掲示板で由宇様から、ありがた〜いご感想を頂いたのがきっかけ。
 本当にあれがなければ、今でも一話のまま止まっていたでしょうし、その後の他のモノ達も書かれませんでした。
 完結まで何とか漕ぎつけられたのは、皆様の温かいお言葉たちのおかげ。本当にそれだけです。
 この場を借りて、由宇様、そしてその後ご感想を下さった皆様に、心から御礼申し上げます。

 ありがとうございます!!

 それにしても!!
 ルシファの奴、全然素直に嫉妬してくれねーでやんのッ!!

 私は、筆(キーボード)が詰まると、三千鴉やプチ文庫を読み返し、それまで書いた流れの中で、不自然な部分がないかを探します。「不自然な部分」という のは、“サラディンはこんな時、こういう反応はしないだろうな”とか、“ここで、この人が、この事に気付かないわけはないよな”とかいう部分で、筆の詰 まった時は必ず、読み返した文章の中に「それ」がある。
 そこを修正すると、また、さくさく進むのです。面白いもので。
 ですから、私が二次創作をする上でとても大事にしているのは、自然な流れ、「らしさ」です。「三千鴉」らしさであり、それぞれのキャラクターの「らし さ」でもある。それが把握できていないと、私の中の「彼ら」が納得してくれないで、筆が止まってしまうという;;;。その「らしさ」を習得(?)するた め、三千鴉、プチ文庫、カラワンギサーガラの3巻と、一体、幾度読み返したか分かりません。
 面白いから、読み始めると当初の目的を忘れて読みふけってしまう…だけって話もありますが…。

 それはつまり、気取った言い方をすれば、楽譜の行間を読み、作曲家の意図に近付こうとする演奏家や、より良い舞台を作り上げるため、台本を読み込む演出 家――のようなもの、でしょうか。

 そーゆうわけで、拙宅のルシファは、私自身の希望とは裏腹に、素直に嫉妬することも、恋愛感情に目覚めることもしてくれないのです。くそぉ。
 でもやはり「彼ららしく」、それなりに色っぽい流れになってくれるので、ルシサラ大好き!な私としては、そーゆうシーンを書いている時の楽しいこと楽し いことっ(T_T)。…ってゆーかルシファ、いいかげん自覚して頂戴!禁断症状なんて寝言ってんじゃないわよこのお馬鹿助!

 ――今回書いていて、それこそ終盤になって、感じたことがあります。
 津守先生は、(たぶん本当は心底サラディンに惚れ抜いているのであろう)ルシファの様子を、愛とか、恋とか、好きだとか、愛してるとか、そういう表現を 一切使わないで書こうとしている。そうすることで逆に、愛しているとは、恋をするとはどういうコトか表現しようと、チャレンジなさってるんじゃないかな、 と。
 もし、そうだとしたら、それはかなり面白いチャレンジだ!と思います。
 『やさしい竜の〜』が見事なまでに「愛してる」を連呼するので、対照的でまた面白いですよね。

 三千鴉は、他にも色々と奥深いテーマを内包している作品だと思いますが、これまたそれを、とにかく「ギャグ!!」に徹して書いてるのがいいな〜と思いま す。

 文体や言葉も真似てみてはいますが、そこはそれ、書けば書くほど、さすが津守先生、と思うばかりでした。
 改めて読み返してみて、ルシファオリジナル懲罰の「カジャ・ニザリ13回連呼!!」に爆笑したり。(>∀<)"。いやもう楽しいわ〜っ♪

 拙い文章ですが、楽しく書くことが出来ました。本当に、ありがとうございました。
 ここらで一区切り、と思いますが、また原作やプチ文庫、CD、皆様からのリクエスト等の刺激があれば、物語も浮かんでくるかと思います。とりあえず今 は、書き散らした文章たちをまとめて冊子にでもしてやろうかと企みを。
 でも、一人じゃ無理。どなたか…挿絵……とか………描いて頂けると…(願)。

 それでは、ここまでぐだぐだと長い後記にお付き合い下さり、ありがとうございます。改めて、御礼申し上げます。
 今後とも拙サイトをよろしくお願いします。

 あ、それから。
 私がこの『緑眼』で一番好きなシーン(台詞)はといいますとですね、「ほーほほほほ」だったりします。ふへっ。
 (ここまで書いといてそれか?!)

2007年6月11日 アマノウズメ

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