あしべゆうほ

「CRISTALDRAGON」

 文字を持たなかったために、未だ謎の部分が多くある、アイルランドのケルト民族。
 「緑原の一族(グリアナ ン・クラーナ)」の少女、アリアンロッド(銀の車輪)が物語の主人公です。
 詳細な取材に基いた緻密な絵と、魅力的な キャラクター達、それからシナリオ。まさしく大人のファンタジー。時代はローマ、ネロが皇帝の頃。ローマの駐屯地の様子とか、それにヴァイキングやらなんやらも絡んで、大陸まで渡る大冒険!
 ……が!残念ながら、素晴らしいのは18巻辺りまで。数年に渡る休筆の後、連載再開し、単行本もほぼ定期的に出るようになったのは良かったのですが……表紙がパソコン絵になったのとほぼ同時に、中身も、今や「あしべゆうほ」本人が描いていると思えないほど変質してしまいました。
 残念至極としか言いようがありません。美しい手描き絵がもう一度見たい…。それまでのクオリティがすんばらしく高かっただけに、無念でなりません。なぜなんだ…(T_T)!これ以上、質が下がらないことを祈るばかりです。

「悪魔の花嫁」

 あしべゆうほさんの作品だと、おそらくこれが一番メジャーなのではないかと?最近はよくある原作付きですが。美奈子のキャラとか、毅然としていて好きです。最近「連載再開!」みたいに大々的に宣伝していましたが、あれはダメダメな絵のほうだ〜(T_T)。あしべゆうほさん本人直筆の絵が恋しい…よ。

「テディ・ベア」

  大分古くなりますが、これも大変に面白い作品です。虚弱体質のアメリカ大富豪の息子が、教育係の青年と一緒に、アルプスの小さな民宿で転地療 養するわけですが…。土地の少年少女達との交流、旅行者たちとのかかわりなど、筆者得意の取材に基いたリアルな描写で、オーストリア・アルプス、チロル地方の生活が描かれています。それにファンタジックな要素が加わって、質の高い作品になっています。……が、それも4巻までで、5巻はかなり失敗。4巻で一度、エンディングになっているのですから、そのまま終わりにしておけばよかったのに…。おそらく作者の興味が逸れたのでしょう、少年は大きくなってイギリスの学校へ…。溜息。
 あとは、『後ろの正面だあれ?』。現代日本を舞台にした、妖怪物の短編です。ギャグタッチで、これは面白い。
 ツメの甘い感はありますが、この人も天才だと思います。何度読んでも面白い。

≪My Favolites   BBS   Entrance≫