風の谷のナウシカこれはもう、私が今更何かを言う必要もない作品、だと思います。今のアニメ、映画も含めてそれらはすべて、『ナウシカ後』のもの。 久石譲の作ったテーマ。それが、映像とともに流れ始めた時の鮮烈な印象は、いつまでも色褪せることがありません。 一瞬で画面の中に吸い込まれる美しさ。 自然と人間。 人というものの業深さ。純粋さと愛、懺悔。 やがて訪れる、奇跡の瞬間。 『犬ホームズ』を観るつもりで家族と映画館へ入った私は、すっかりナウシカに魅入られてしまいました。 忘れられない思い出です。 子どもにも、ではなく、子どもには、分かる。むしろ大人より。 その思いの原体験になっています。 ハウルの動く城とにかく美しく楽しい作品です。すばらしい完成度。ただ観るべし、観るべし!!毎度ながら、このヒトの作品をリアルタイムに劇場で観られるのは、ものす ごくラッキーなことだと感じ入ります。完全に『映画』として作られた、劇場で観なければ意味がないと言い切れる作品。宮崎作品では初めての、いかがわしくも色っぽい美青年が登場します。臆病で目的のない瞳をした青年です。そして自分に自信のないお嬢さんも。原作はあの トールキンに師事した女性とのこと。読んでみたいと思いました。 オープニングはかの『犬ホームズ』シリーズを彷彿とさせ、ラストもちょっとそんな感じでした。珍しく「2」があっても良さそうな、少し尻切れ感のあるエ ンディング。 さぁ、も一回観に行こ。 千と千尋の神隠し言わずと知れた、日本記録更新作品です。これだけ売れると確かに辟易としてしまうところもありますが、この作 品の素晴らしさは正当に評価されるべきだと思います。よくあるアングラ好みの映画通気取りなんかは、メジャーになったものに対して辛くなる向きがあるよう に感じますが、この素晴らしさが解らない人は審美眼がないと思います。好みは別として。 興行記録なんて後からついてきたもの。何がどうでも、この作品はすば らしい。 ワンカット、ワンカットの美しさ。完成度 の高さ!2時間以上の全編に渡って、ほとんど気も手も抜かれていない!これは宮崎駿はもとより、スタジオジブリの血と、汗と、涙のまさに結晶だと感じまし た。 私はこの作品を、リアルタイムに劇場で観 られたことを幸せだと思います。それはどの宮崎作品についても言えることですが。 内容については、天才・宮崎駿の理屈を越えた域での所業ですので、モ ナリザの微笑に鳥肌立つか否かという、その人持てる感性の範囲というものがありますが…。 子ども相手の仕事をしていると、10歳の 少女がどれほどの輝きを発するものか、日々肌で感じ、目の当たりにしています。それは命の輝きとしか言いようのないものです。はっきり分けられはしません が、8歳から9歳になるまでの子どもというのはもう少し、いわゆる子どもらしい無心さと移り気さを持っているようです。けれど10歳になる時期というの は、童から「少女」へと変わる、思春期入口ぎりぎりの奇蹟みたいな瞬間なのだと感じます。 それは心の孤独に触れる「最後のチャンス」に近くもあるので、大変なのですが。 その時期、あの煌きを、よくまぁここまで表現できるものだ、天才だな、と思うわけです。 |